前回までのあらすじ
「トークイベントやろ」
「腕がなります」
【DQ10】『The TALK』イベントレポート1 プロローグ - しばしばオフトン
さて、前回からの続きです。
審査員によるクオリティのめちゃくちゃ高い寸劇の後、出演者が入場しました。
歓声冷めやらぬ中、一回戦のメンバーが中央の椅子に腰掛けます。
四方から、違いを見据え、睨め付けるそれぞれの4人。
あるものは不適に笑い、あるものは無為を装いながらも、4人が作るスクウェアの中央は、彼らの視線から放たれる見えない何かが、目まぐるしく火花を散らしていました。
その中央に私は立ち、満足げに彼らを見つめると、声を上げました。
「それではこれから、楽しいトークゲストのみなさんと、楽しいトークを始めましょう」
「今日のトークテーマは、『バージョンアップ』です」
「わーわー!5.3まもなくー!」
「楽しみですねぇー」
白々しく、わがまま君のふたりがガヤを入れます。彼らはもちろん、バージョンアップについて語る気は毛頭ありません。
それを私はニヤリと見つめながら、続けました。
「もちろんトークゲストのみなさんは、楽しくバージョンアップについて語ってくださると思いますが」
「まさかこの中にわがままが方がいて、他の話題を話すなんてことは…」
「あるはずがないですよね…」
「まさかなー」
「まさかー」
二人は一切動じる様子も見せません。まあ、このくらいの演技は彼らレベルであれば当然のことでしょう。彼らはこれから、もっと難しいことをしなければならないのですから。
「それでは、トークの始まりです」
「はく、プリック、メイア、ヒロト」
「よろしくお願いします!」
振り下ろした手を合図に、拍手鳴り止まぬ中、4人のトークバトルが今始まったのでした。
1回戦 - Talk Phase 1
Role : わがまま君
表トークテーマ:バージョンアップ
裏トークテーマ:フェルマーの最終定理
Role : わがまま君
表トークテーマ:バージョンアップ
裏トークテーマ:ブログ
Role : わがまま君
表トークテーマ:バージョンアップ
裏トークテーマ:携帯電話
Role : 普通のトークゲスト
表トークテーマ:バージョンアップ
「お願いしますね!」
「よろしくお願いしますー!」
「更新*1いつなの?」
「あれ?いつだっけ?」
「9月?」
「更新は9/16!」
「おお!」
「おおおお!」
「さすが!」
「アンドリュー・ワイルズ*2の誕生日ですね!」
「誰?」
「だれ?」
解説:メイアの乱
フェルマーの最終定理に寄せるために、突如謎の数学者の誕生日の話を始める。いささか強引であり、「突然どうした」感がでてしまったのは否めないが、フェルマーの最終定理に寄せるにはもはやこのくらいの腕力が必要なのだ。結果的に他に戦う意思を強く示すことになった、初戦のターニングポイントである。
「バージョンアップといえば幕末みたいです」
「バルディスタとゼクレスが薩長同盟にみえて」
「今回のメインコンテンツは何かな?」
解説:ヒロトの謎フェイク
ヒロトは普通のトークゲストであり、他の話題をする必要はないが、なぜか突然の幕末フェイクを開始。これにより、他プレイヤーに「ヒロトはわがまま君なんだなきっと」と誤解させることには成功するものの、トークとしてはとても不自然だったので華麗にスルーされる。
「メインコンテンツはオイラー*3の迷宮」
「だれ?」
「オイラーって何?」
「オイラーってなに」
「あ!間違えた!」
「『王家』の迷宮と間違えました…」
「とおいなー」
解説:それいけメイア
とにかくフェルマーの話題に寄せるメイアさん。彼女のスキルは「すっとぼけ」であり、うっかりや勘違いに託けてフェルマーワードを打ち込んでくる。強引ながら、勢いはある作戦であり、これが3人の審査員の目には果たしてどう映るか。
「新スキルが楽しみですよやっぱり」
「みなさんは」
「新スキルくるん?」
「新スキルきますよ!」
「攻略見てクリアするタイプですか?」
「目玉は何と言っても」
「デスマスターが良くなりそう!」
「コマンド2列っすね」
「デスマスター強くなりそう!」
「新撰組みたいなもんすね」
「デスフェルマーとも呼ばれていますね」
「攻略は見ずになるべくガッツで」
「バラバラwwww」
解説:みんな自分のテーマに寄せたい
はくちゃんが、「攻略は何をみるか」▶︎「ブログ」という流れに持っていこうとするものの、ヒロトは「幕末」に寄せたい気持ちが溢れ出ており、メイアさんはもうフェルマー言い出してるしで、プリック以外の3人が自軍に引き込もうと必死な乱戦状態。ヒロトは幕末に引き込むことに一切メリットは無いのだが。
「メインシナリオもいいけど」
「地味に気になるのはスマホアプリの」
「次は大政奉還みたいなストーリーに期待ですね」
「大政奉還?」
「便利ツールも期待です」
「なんてよむの」
「たいせいほうかん」
「何て読むの?大政奉還」
「あ」
「2列目玉っすね」
「あれね」
「あれね」
「2列の別名」
「2列=大政奉還でしょ」
「2列の別名?」
「『土方と沖田』です」
解説:
2列というのはスキルコマンドが2列になるということですが、それにしてもこの辺は高度すぎて彼らが何を言っているのかわからなかったです。
「はくはバトルトルニチーが楽しみです!
「バトルとリリにティ!」
「それもあったね!」
「今までやったことないけど」
「今回はランキング*4のるようにがんばる!!
「けど続々といろんなコンテンツが」
「便利ツールに移行してるじゃないですか」
「便利ツールに帰った」
「でもさ」
「勇者復活って」
「スクエニのさじかげんって」
「いつかツールでトリニティポイント」
「貯められるようになるのかな」
「スマホ投げちゃいました」
「ツールでトリニティポイント」
「ポイントほしい」
プリックvsメイア:
トークも後半に入り、プリックが自分のテーマに寄せようと動く。その違和感にメイアが気づき、探りと牽制を入れているシーン。メイアさんが「プリック、お前のテーマは便利ツールなのかい?」と攻めると、プリックが「いやいや、トリニティの話をしたいだけだよ」と防御する。違いの思惑が絡み合う高度な舌戦である。なおヒロトはメインストーリーの話を一生懸命しているが、誰にも拾ってもらえず制球定まらず。苦しい展開である。
「モーデルの予想*5だとそうなりそうって」
「何処かで見たことがあります」
「モーデルってなに?」
「さっきからだれ?」
「え?」
「ファルティングスの定理*6しらない?」
「なんなの?」
「えらいひと?」
「モーデルがベースにして」
「トリニティのもとになったの」
「やだなあ 下ネタやめてください」
「下ネタやめて!」
「はいそこまで!ここで一旦CM入りまーす」
1回戦 - Rest Phase 1
Talk phaseが終了しました。
ここで一旦CMに入ります、の合図で、選手たちは控室に入ります。
これからは、審判団による評点、そして告発タイムとなります。
ここまでの様相をまとめます。
メイアさんが難解なお題に対して剛腕で攻め込み、プリックは全体のトークの流れを生かしつつも自分の話題も話しました。はくちゃんはブログの関連ワードをほぼステルスで組み込んだため、前者二人に対して告発される可能性は低いでしょう。ただし、メイアさんは強引ながらも、そもそもお題が難解であるため告発の防御力は高い状態です。なおヒロトが巻いた幕末フェイクはなんらかの効果を示すのかも見所です。
告発
「告発があるものはあるか」
「告発をします!」
「ほう…」
「ヒロトさんはわがまま君で…」
「『幕末』について話していました!」
告発▶︎▶︎▶︎︎
告発内容:幕末
判定:False
あからさままでの撒き餌、ただヒロトならやりかねないというイメージも利用して、ヒロトの幕末フェイク、綺麗に炸裂。
手を上げたフリをして、その俯いた顔でほくそ笑むヒロト氏。
その様子を見ながら、今度ははくちゃんが叫んだ。
「メイアちゃんをこくはくします!」
っっ ←照れている
「////」
「メイアちゃんはわがままです!」
「『数学』について話しています!」
告発▶︎▶︎▶︎︎
告発内容:数学
判定:False
「そ、そんなわけ無いでしょ・・・」
当たらずとも、にじりよる。
やはりフェルマーの最終定理はお題としては難解ながらも、その分防御力も高いテーマのようです。
そして、次はヒロトの告発です。
「プリックは」
「『便利ツール』」
告発▶︎▶︎▶︎︎
告発内容:便利ツール
判定:False
「なるほど」
そして、ヒロトはそのまま掟破りの二人目の告発も果たします。
「メイアさんは」
「時々いやらしい目で僕をみてました」
「しとらんわ!!!!!!!!!!!!!!」
告発▶︎▶︎▶︎︎
告発内容:時々いやらしい目でヒロトを見ている
判定:TRUE
(Trueとはいえ告発は一人一回まで…この告発は無効…おしかったな、ヒロト)
そして最後はプリック。
「メイア氏は」
「『学者』について話そうとしている…」
告発▶︎▶︎▶︎︎
告発内容:学者
判定:False
プリックも、はくちゃんに続いて惜しいところまでにじりよっているのですが、フェルマーの厚い防御は突破できず。
ということで、告発による死者は生まれず。
平和なRest Phaseになりそうです。
次に審査員からのジャッジにより、順位が決まります。
なお、トーク中は、メイアさんのぶっこみが審査員にオオウケでしたが。
ウケルことと、得点が高いことは別ものです。
さあ、審査員のジャッジは・・・
審査結果
1位 +3p
2位 +1p
3位 ▶︎ 表トークテーマで一位取れず、死亡
4位 ±0p(繰り上がり3位)
・・・ヒロトー!?
幕末に意識を持っていきすぎた影響か、表トークテーマの「バージョンアップ」を他のものよりも話せていなかったと評価され、3位という結果に。
このとき、おそらく会場の誰もが「メイアさんの『幕末』告発が正解した」と考えたと思われますが、実は順位死亡だったのです。
表トークテーマの者は1位を取れないと死亡するというルールがあります。
神の雷にふれ、ヒロト、死亡ー。
Dead:表トークテーマ者で、1位を取れず
ということで、表トークテーマ者がPhase 1で死亡するという乱戦に。
残り3人はわがまま君しかいません。
ただ、幕末死亡したと思っているメイア、プリックは強引なトーク展開を見せていないはくちゃんが表テーマ者だと考える可能性が高く、はくちゃんのステルス能力はさらに高まり、有利となったと見て良いでしょう。ヒロトはチームリーダーに、死を犠牲にしてサポートを行ったと言えるのかもしれませんね…。いや絶対そこまで考えてない。
Phase 2へ
Rest Phaseが終了し、ふたたびTalk Phaseへ。
トークゲストの突然の死に騒然とする会場。
しかし、生き残りしものによる楽しいトークタイムは続いていく。
友のしかばねを乗り越え、最後まで戦い抜き…
ー王の名を、手にするために。
続く。
*1:更新:ブログ関連ワード。更新とは一般的には改めるという意味だが、ブロガーは新しい記事を投稿したという意味で頻用する文化がある。
*2:アンドリュー・ワイルズ:イギリスの数学者。フェルマーの最終定理の証明に成功した人物。なお誕生日は4月11日。
*3:レオンハルト・オイラー:数学者、天文学者であり、フェルマーの小定理を拡張するなど功績を残した
*4:ランキング:DQ10界にはブログランキングという古より伝わりし伝統文化があり、ランキングとワードは若干ブログを意識した言葉と考えられる
*5:モーデルの予想:有理数体 Q 上に定義された 1 よりも大きな種数を持つ曲線は、有限個の有理点しか持たないであろうという予想である。ファルティングスによるこの証明により、フェルマー方程式 xn + yn = zn が整数解をもつならば(つまりフェルマー予想が誤りならば)その解の個数は本質的に有限個しかないことが証明される。この「有限個」が「実は 0 個」であることが示されればフェルマー予想は証明できたことになるが、この方向からの絞り込みには行き詰まりが指摘されていた。ともあれ、この時点でフェルマー予想が「ほとんど全ての場合について正しい」ことが判明したと言うことはできた。
*6:ファルティングスによるモーデル予想の証明