しばしばオフトン

内科医、栄養専門医。平和な日常。

ダイエット、成功する人しない人

 さて、私は内科の医師ですが、その中でも栄養専門医って資格を持ってます。で、その栄養専門医ィー!!ってのをブログ紹介文にも載っけて全面に押し出しているわけなんですけど、最近私自身のお腹周りがポニュポニュしてまして、ツイッターでもラーメン美味い!ラーメン!と大喜びしてるのでこの時点でもういろんな説得力がゼロです。今日の記事のタイトル見て来てくださった方も閉じるボタンに手が伸びそうになっていると思いますがもう少しだけ堪えて見ましょう日曜日ですし。

 とにかく、栄養専門医がこの体たらくでは、これは世の中の他の専門医の方の権威を失墜させる可能性があり、失礼じゃないかと思いまして、まあ実際はそんなことはほぼ考えてないんですけど、「ただただ痩せねば」と思い立ち少しずつダイエットを始めました。

 1ヶ月くらいの成果がこちら。

 

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 2キロぐらい落ちてる!素晴らしい!1ヶ月で2キロはかなりのハイペースといって良いのではないでしょうか!

 

 やってることは運動と腹八分目、大目にタンパク質取る、っていうことです。

 

 私自身ダイエットの経験は殆ど無いんですけど(ダイエットするぞ宣言は100回くらいしてます)、仕事柄ダイエットを頑張ってる人のアドバイスはずっとして来てます。自分がやったことないのを教えれるわけ?!とそれはまあ至極もっともなんですけど、私の指導の成果はともかく、何百人と見て来て「ダイエット成功する人」と「ダイエット成功しない人」の差はだいぶわかるようになった気がします。今日はそれを紹介したい。

 

 まあ勿体つけることはしません。ダイエット成功する人は、「運動してる人」です。失敗する人は、「運動してない人」です。

 

 世の中にダイエット本は数多にあり、インターネットから、怪しげな商品広告、さらには肥満学会から国際学会まで、体重を落とすための方策は沢山報告されてます。

 

 どれが一番正しいかは神様しか実際はわからないのですが、それなりに説得力があるであろう団体の日本肥満学会のガイドラインでは、運動療法、食事療法、両者併用による減量効果には差がないとする論文を引用していました(Obes Res. 1998; 6 Suppl 2: 51S-209S)。

 

 なので、結局食事を頑張っても、運動を頑張っても、痩せることは痩せるのは間違いないです。ただ、そういった報告はどうしても短期の話になりがちですし、また、長期に見たとしても、「研究に乗ってるデータ」という時点で、ある程度リアルワールドとは離れた世界のことになっています。単純に言えば、研究には「しっかりした人」が集まりやすいですし、「あなたの体重研究してますよ」と言われるだけで「頑張らなきゃ」ってなるわけですから。テレビショッピングの商品紹介モニターで激やせする方々の殆どがこの「あなたが痩せるかどうか見てます効果」だと思ってます。

 

 なので、結局どうなのか、ということに関しては、エビデンスも何もない私の感覚の話にはなっちゃうのですけど、逆にそれでしか言えないこともあると思うので臆面なく言います。

 

 食事だけの人はリバウンドしやすいです。

 運動してる人はリバウンドしにくいです。

 

  この理由は沢山考えられるんですけど、結局全部予想になるというか、絶対そうとは言い切れないものばかりです。ただ、私のカンで話すならば、「食事を我慢するのは辛いけれど、運動は楽しくなってくることがある」というのが大きいのではと思います。

 

 世の中にSGLT2阻害薬という、尿に強制的に糖分を出させる糖尿病の薬が出まして、それが体重を落とすことに加えて長期的な健康にもつながるという報告が数多出ています。ですので、長期的に体に吸収されるカロリーを抑えること自体は間違っていないんだと思います。だけど、自分の気合だけで長期的に食事を減らすのは中々難しいことなのでしょう。一時的に痩せても、どこかで元の食生活に戻ってしまい、数ヶ月、長くて数年でまた太ってしまう。それも以前以上に。つまり続かないんですね。なぜ続かないのか。

 

 それは「ラーメン食べたい!」って気持ちはいつまでも消えないからだと思います。「ラーメン食べたいけど、我慢!」っていう治療だからだと思います。我慢は続かない。続けてるうちに「ラーメン我慢するのが最高に快感になってきた」とかそういう境地に達せられてる方は見たことありません。

 

 一方、運動をされている方のほうが、長く持つ気がします。その原因の一つとして、運動を続けられる方は、何かしら上手に運動が生活の一部になってるんですよね。例えば、通勤を自転車にした、とか、犬の散歩がある、とか、ジムに通うのが楽しくなった、とか。そしてさらに重要なことに、それらの方は、得てして運動を苦にしていない。運動が辛くて辛くて、という気持ちになっている方が少ない。むしろ楽しそうにしている方が多い。

 

 私の外来では、「食事制限、頑張ってくださいね…」というのは何だかどうしても悲しい気持ちになるんです。患者さんも「はい…」とうれしくなさそう。そりゃそうです。でも、その点「運動、頑張ってくださいね!」と伝えるのは私としても伝えやすいんです。それは運動が制限させるものじゃなくて、加えるものだから。消極的に我慢するものじゃなくて、積極的に加えるもの、プラスαのものです。患者さんも「ちぇー厳しいなあ!」と言いながらも、なんか笑顔のことが多いんですよね。

 

 人間は引き算の治療が苦手だと思います。例えば食事療法でも、「何を食べた方がいいか?」ということを聞きたくて、「 何を食べないほうがいいか?」というのはあまり聞きたくない話なのです。我慢はしたくない。今の生活を減らすことなく、体にプラスになることを取り入れたい。足し算をしたいのです。

 

 しかし、食事療法はどうしてもこの過食の時代なので、引き算の治療になります。その点、運動は足し算。この違いがダイエットの成功に関係するんじゃないかなと思っています。

 

 まあここまで書いておいて…個人差はめちゃくちゃありますけどね。そもそも、「運動楽しい!」って人が運動を選ぶわけで、「運動するくらいなら絶食したほうがいい」ってくらい運動が嫌いな人はもいるわけで。つまりこの話は「ダイエットには運動したほうがいい」っていう話ではなく、「運動続けられてる人のほうがダイエット成功してる」っていうだけのことかもしれません。

 

 なので、私が伝えられるのは、運動して痩せた人のほうが人生楽しそうだよ、ということくらいです。痩せる痩せないにかかわらず、運動、楽しいですよ。私も10年以上まともに汗をかくことがなかったのに、運動して汗だくでシャワーを浴びてる時「うひゃー!気持ちいいー!生きてる俺ー!!」ってなってます。人間、動物ですから、やっぱ動いてナンボという生き物なんじゃないですかね。

 

 気づいたらダイエットどうこうより、運動いいよねーっていう話になりました。さあどうです、ひさびさに運動してみるか!という方。いませんか!ただね、うん、思ったんですがこの猛暑の中運動を始めてみるのは完全にドクターストップです!熱中症の救急車が凄いことになってます!!運動よりも命が大事です!!しばらくはクーラーの部屋で麦茶飲みましょう。なんだったんだこの記事。