熊本の震災に際して、簡単にまとめました。
特にインスリン治療をされている糖尿病患者、 また現地の医療スタッフの方は参考にしてください。
災害時糖尿病のマニュアル
PDFファイルをダウンロード出来る場合は、下記をクリックしてください。
インスリン治療をされている方へ
インスリン治療をされている方で、特に、上記のマニュアルが読めない、読んでもわからない場合はここから先の当てはまるところを読んでください。
インスリンが手元に無い方
インスリンはあるが、打ち方がわからない方
インスリンとは違うが、何かを注射をしている方
自分で血糖を測定できる方
自分で血糖を測定できない方
注射針が少ない方
インスリンが手元に無い方
インスリンを特に早く手に入れる必要がある方は、以下の方です。
1型糖尿病と言われたことがある
1日4回注射している
医師に「この注射は食事がとれなくてもやめてはいけない」と言われた事がある
病院で、血糖値、ヘモグロビンエーワンシーが高いと言われている
今、体調が悪い
これらに当てはまる方は、例え食事がとれない時でも、インスリンを注射しないと、早い場合は1日以内で血糖値が上昇して危険になる可能性があります。
早急に病院、診療所にて、インスリンを手に入れてください。
インスリンはあるが、打ち方がわからない方
まず第一に、血糖測定が出来る状態であれば、なるべく測定を行ってください。
普段のインスリン量がわかる方のフローチャート
基礎インスリン、速効・超速効型 という言葉が解らないときは、以下を読んでください。
まずインスリンに表面に書いてある、インスリンの名前を確認してください。
トレシーバ
レベミル
ランタス
グラルギン
この4つのインスリンのどれかの場合、このインスリンは上の図の基礎インスリンというインスリンになります。
また、
ノボラピッド
ヒューマログ
アピドラ
ノボリンR
ヒューマリンR
これらのインスリンは、速効型・超速効型ということになります。こちらはご飯の前に注射するインスリンです。
上記の図に従ってインスリン注射をすることが臨まれますが、緊急時は食事が普段より少なくしか取れず、低血糖になる危険があります。特に食事がしっかり取れそうに無いときは、普段の量よりも少なく打つようにした方が良いでしょう。しかし、基礎インスリン(トレシーバ、レベミル、ランタス、グラルギン)は全く注射しないと血糖がだんだんと上昇してしまう可能性があるため、少量でも注射を続けた方が良いです。
普段のインスリン量がわからない方のフローチャート
介護者による注射や、また医療機関での注射の場合に、普段のインスリン量がわからない場合はこちらを使用してください。
例えば、体重50kg程度の方であれば、ランタス5単位を1日1回注射、食事がとれれば食事の前にノボラピッド4単位ずつ注射してください。
ただし、非常に痩せている方、1型糖尿病が疑われる方の場合は、4−5単位でも低血糖を来す可能性があり、特に血糖が低い場合は、更に少量の注射を検討してください。
インスリンとは違うが、何かを注射をしている方
ビクトーザ
ビデュリオン
バイエッタ
リキスミア
トルリシティ
これらの注射を注射されている方は、注射が必須である状態ではないと思われますので、注射ができなくなっても、すぐに命に関わる可能性は低いです。焦る必要はありませんが、状況が安定してきたら(食事、注射が安定して出来る)再開が望ましいです。
自分で血糖を測定できる方
可能なかぎり血糖を測定し、インスリン注射などの目安にしてください。特に体調不良時はなるべく多く測定し、低血糖や、Highの表示(600以上)であった場合は、早急に対応が必要です。
低血糖の場合
周りの方に低血糖であることをなるべく早く伝えると同時に、血糖があがる食品を摂取してください。
ブドウ糖があれば一番ですが、ブドウ糖が無い場合でも、何かしらの食品を摂取すれば回復は見込まれます。ジュース、パン、お菓子、手に入るものを食べてください。αGIと呼ばれる薬剤(ベイスン、セイブル、グルコバイ等)を飲んでいる場合、「低血糖時はブドウ糖でなければ血糖があがらない」と説明を受けている場合がありますが、あがりにくい、というだけで上がらないことはありませんので、緊急時はブドウ糖以外でも大丈夫です。手に入るものを食べてください。
高血糖の場合
血糖が高く体調が悪い時、特にhigh(ハイ)の表示が出るような場合は、注意が必要です。インスリン注射が可能であれば、普段の自分の注射量を参考に、注射してください。打つ注射の量に悩む場合は、5単位注射してください。早急に病院、診療所に向かう必要があります。
自分で血糖を測定できない方
できるだけ早く血糖を測定を出来るようにしたほうが良いですが、高血糖の症状として、「のどが乾く」「尿が増える」など症状があります。
特に、喉が渇いているのに尿が増えている状態は高血糖が疑わしく、放置すれば脱水状態となりますので、飲料の確保、水分摂取をこころがけてください。この場合は早めに医療機関への受診が望ましいです。
注射針が少ない方
インスリン注射は普段は1回1針、使い捨てが基本ですが、災害時は同じ針を何度も使用してもかまいません。消毒綿も無い場合は、消毒を行わず注射して大丈夫です。
ただし、針、インスリンの他人との間の使い回しは、血液を介して、病気がうつる可能性がありますので、行わないようにしてください。